『「行動綱領」で創り出す新しい企業価値』
- 出版社:プレジデント社(2003年9月18日刊行)
- 定価:1900円+税
コンサルティング活動をベースに著者が問題を解明社会と顧客から評価される活力企業への行動ルールを明らかにする。行動綱領とは、企業理念・行動指針を包括した概念であり、本書は多くの社で企業理念・行動指針づくりとその活用のための教科書となっている。同時にともすれば乖離しがちな企業の理念と企業行動の問題点を論理的に解明し、企業理念を軸とした経営のあり方を実証的かつ創造的に提唱している。
目次
- 第I部/I章:なぜ、行動綱領が必要なのか/行動綱領の力
- 「最良の作品を世に遺す」竹中工務店/安全哲学を磨きあげたデュポン/積極的にネガティブ情報のチャネルを開くIBM/「自主自立」というホンダの経営意思決定/行動綱領の生命カ
- 第Ⅱ章/I:行動綱領とは何か/人間集団の行動網領
- 家訓もコーランも行動綱領/行動綱領を規定する四つの要件/基本綱領と実践綱領/基本綱領の例/実践綱領の例/"正しくする綱領"と"強くする"
- Ⅱ:企業の行動綱領
- 企業の行動綱領を規定する四つの要件/企業の基本綱領と実践綱領/行動綱領は企業ごとに独自の用語規定が基本/基本綱領は企業理念や行動の基本原則、規範、規準の包括的な記述/実践綱領は行動の実践局面において個別的な判断規準として活用する記述/基本綱領と実践綱領の縦の構造/行動綱領の横の展開/(付記)倫理綱領の社員への伝達
- 第Ⅲ章/I:機能する行動綱領をつくるには/N川の氾濫<エピソード1>
- 97%が避難勧告を無視/言葉が機能しなかった/コンセプトを理解する土台となる価値観の共有/基本動作の徹底が大事/対応の一回性
- Ⅱ:法令遵守への手順<エピソード2>
- 法定料金と実勢価格の乖離に苦しむ/判例から突破口を見つける/ドキュメントの果たす役割/言葉の解釈への厳密主義/ドキュメントとコンプライアンス
- 第Ⅳ章/I:行動の設計/行動綱領を基軸にした行動設計
- ドキュメント体系の構成/行動の強化・革新/行動設計の発想から行動綱領へ取り組む
- Ⅱ:行動綱領の役刮
- 意思.理念.価値/期待と規律/指針としての役割/決意表明と誓約/重層性と多義性に注意を〈参考〉綱領が背負っている意味店是・社是への展開/テーゼ/コード
- 第Ⅱ部/I章/I:独自の設計、独自の文化―行動綱領の実例分析母/企業理念に託す"普遍"と"進/基本網領を比較する
- 理念表明の選択/憲法としての基本理念/基本理念、社是/普遍性を追求するホンダフィロソフィー/時代性を意識し進化を志向するトヨタ基本理念/凝縮性と網羅性
- Ⅱ(1):理念から行動へ トヨタ社員の行動指針―規律と期待の表現
- 時折見える極端な具体的描写/行動計画がどんどんドキュメント化される/日本企業には異例なドキュメント化体質/「見える化せよ」の文化/短サイクルで回る提案―承認―ドキュメント変更―改善のプロセス
- Ⅱ(2):ホンダ……シンプル、集中、スピードで企画を磨く
- 3S(シンプル、集中、スピード)
- 第Ⅱ章/I(1):倫理のマネジメント/企業倫理、ビジネス・エシツクス、コンプライアンス 道徳と愉理の区別
- 道徳、倫理、そして企業倫理/企業倫理は手続きの正当性も問われる/ビジネス・エシックスに秀でた禿げ鷹ファンド?/何が正しいのか
- I(2):エシックス
- 様々な葛藤領域/量刑基準からの理解/米国と日本の深いつながり/マネジメント対象としての倫理
- Ⅱ:IBMの先行的葛藤のマネジメント
- IBMの基本的信条/ビジネス・コンダクト・ガイドライン/プライバシー保護への総合的なイニシアティブ/新しい倫理づくりへの取り組み/厳密な規定と断固たる姿勢 の明示(潔癖なジョンの転職準備/勤務時間中であれ、勤務時間後であれ/利益の衝突/ゲーム会社の怠慢/辞めるときには弁理士と話し合う/設計の出発点)
- Ⅲ:倫理への文化的アプローチ
- TI-アイ・アム・パート・オブ・イツトの企業倫理TIの企業倫理綱領のあゆみ/日本TIの行動綱領体系/TIのエシックス・マネジメント/企業倫理を支える文化づくり/「エシックス・イン・ザ・ビジネス・オブ・TIJ」の特徴/「エシックス・イン・ザ・ビジネス・オブ・TIJ」の全体構成/企業倫理の基本単位は「言うこと」/企業文化という倫理への装備
- 第Ⅲ章/I(1):行動を研ぎあげる/デュポンの安全哲学 デュポンのコア・バリュー
- 安全/安全・衛生・環境に関するデュポンの公約
- I(2):デュポンの安全10原則
- すべての怪我及び職業病は防ぐことができる/安全手順の基本動作化/独自ノウハウの開発/安全手順は命にかかわるルールである/安全のトレーニング/交通安全/勤務時間外の安全/安全という価値追求がビジネスに/従業員は成功の最も大きな鍵
- Ⅱ(1):JTBのR&Dプロジェクト R&Dチーム―新業態開発の使命
- 既存旅行業態への危機意識の中で/基本理念・推進基本方針に基づく開発ターゲット設定
- Ⅱ(2):メンバー・ルール―目立したプロ集団として
- 自己の確立/外でネットワークを、内でスパイラルアップを/ビジョンにはキャラクターが反映する/メンバー・ルールから浮かび上がるチーム像
- Ⅱ(3):新業態開発1 BTS(ビジネス・トラペル・システム)
- 出張業務の包括的な請け負いとコンサルティング/コスト削減に貢献/マネジメント・レポートによる経費管理の改善提案/既存資源を活性化してBTSに競争力/統合システム/海外出張に特化し業容拡大
- Ⅱ(4):新業態開発2 コンビニ・チャネル開拓
- 自動販売機で旅行を売るシステム/地域特性を活かしたオペレーション/業態開発としての意義①/業態開発としての意義②
- Ⅱ(5):つくり込まれる行動様式1 Making of The「会議」/2 Making of The「要件定義」
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- Ⅱ(6):自由の規律
- MEC/何もないところからつくる行動様式/「自由の規律」の実践/行動をつくり込む
- 第Ⅲ部/I章/Ⅰ(1):強くする綱領、正しくする綱領/社会の中の企業/グローバル状況との葛藤・シェルが対時した人権と環境<エピソード1>
- ナイジェリア問題/ブレント・スパーをめぐる環境団体との衝突
- Ⅰ(2):市場の社会化、資本の社会化
- 資本の論理、市場の原理/資本の社会化、市場の社会化/市場の社会化の実例/資本の社会化/SRI
- Ⅰ(3):世界人権宣言の支持、倫理綱領の改訂<エピソード2>
- PIRCの主張/シェル・グループとしての価値表明/シェル側の対応
- Ⅱ(1):企業の中の日本社会 不祥事の動因<点検1>
- 米国社会/経営指標の中で株価が突出/性格が違う日米の企業不祥事/問題隠蔽癖をどう克服するか
- Ⅱ(2):黙契の力<点検2>
- 約束が契約として成立する日本社会/一行の欠落が大事を招く/強い集団の黙契/コミュニケーションの希薄化の影響
- 第Ⅱ章:行動綱領を創るために
- 「わが社とは何か」への洞察と確信
- Ⅰ:体系からの接近
- 綱領の期待成果/到達像から綱領化・改訂対象を割り出す
- Ⅱ:企業理念に生命を吹き込む
- 生命ある企業理念は三位一体で機能している/企業理念の浸透手段は唯一行動のみ/ディテールに理念が宿る/「わかりやすく」の落とし穴/社員の行動が意味を創りだす
- Ⅲ:強くする綱領へ
- 価値、訓練、基本動作の開発/どういう実践綱領を創るか/実践綱領で増す行動の自由
- Ⅳ:正しくする綱領へ
- 企業倫理の本質/わが社の正しさは何か/偏ったリスク・マネジメント的企業倫理観の危険/コミュニケーション・チャネルの重要性/ヘルプライン/企業文化の形成/企業と社員の協働作業/企業が描く経営の自画像